燗酒(かんしゅ)は、日本の伝統的なお酒である日本酒を温かくして飲む文化です。
日本酒は、米を原料とし、麹菌と酵母を使って醸造されるアルコール飲料であり、その多彩な味わいや香りが、温度によっても変化します。
燗酒(かんしゅ)は、日本酒の味わいや香りをより引き立て、季節や気候に応じて楽しむための飲み方として親しまれています。
この飲み方は、日本の四季折々の気温変化に合わせて生まれ、続けられてきました。
寒い季節には温まりを求めて熱燗を選び、暖かい季節にはひんやりとしたぬる燗が心地よいです。
お薦めの飲み方から必要な道具まで紹介いたします。
本記事の内容
- 燗酒の必需品
- 燗酒の作り方
- 燗酒に合う日本酒
- 燗酒のお薦め温度
燗酒の必需品
燗酒を楽しむためには、以下のような具体的なアイテムが必要です。最近は色々な道具があります。
- 酒燗器(さかんき)
- 温度計
- 酒器(しゅき)
- その他機器
酒燗器(さかんき)
お酒を温めるための器具です。
一般的には陶器製やガラス製のものがあり、燗酒に適した形状となっています。
急須や銅製の器具も使われることがあります。
最近では電気式から湯煎式まで温度設定ができたりと種類が豊富です。
酒温度計
燗酒を楽しむ上で、正確な温度管理が重要です。
好みの温度に合わせて温度を確認しましょう。
酒器(しゅき)
ぐい呑み : 燗酒を注ぐための器で、日本の伝統的な形状を持っています。木製や陶器製のぐい呑みがあります。
お猪口 : 燗酒を注ぐための小さなお猪口も使われます。燗用のお猪口は温度に強い素材で作られています。
その他の機器
せんべろにセットで湯煎器がついてるものもあります。私は愛用してます 🙂
燗酒の作り方
代表的な数種類の熱燗の作り方を紹介します。
各人の好みに合わせて微調整することができます。
- 湯煎法
- 電気ポットを使用する方法
- レンジを使用する方法
湯煎法
用意するもの :鍋・湯煎器
1.鍋に水を入れ、湯煎器を使って温度を一定に保ちながら加熱します。
2.目標の温度になったら、燗器(ぐい吞みなど)に注ぎ、日本酒を入れて温めます。
一番スタンダードで、一番おいしく燗酒をいただける方法かなと思います。
ゆっくり温度が上がるので、揮発せずに全体的に均一な温度で仕上がると思います。
電気ポットを使用する方法
用意するもの :電気ポット、ぐい呑みなどの燗器
1.電気ポットに水を入れ、ポットの温度調整機能を使用して目標の温度に設定します。
2. 燗器にお酒を注ぎ、電気ポットから出てくるお湯で燗器を温め、燗酒を作ります。
レンジを使用する方法
用意するもの :マグカップ、電子レンジ
1. マグカップにお酒を注ぎ、電子レンジで30秒から1分ほど加熱します。
2. 目標の温度になったら、燗器に注いで熱燗として楽しむことができます。
この方法が一番簡単でお薦めです。
口の広い器に入れて、ラップをしたら500wで40~50秒くらい加熱します。
その後、少し器を回してから500wで10秒ほどで丁度いいと思います。
使ってる電子レンジや量によりますが 🙄
これらの方法は、目標の温度をキープしながら燗酒を作る基本的な手法です。
一般的に、温度が高いほどアルコールの香りが引き立ち、風味が変化するため、好みに応じて調整すると良いでしょう。
燗酒に合う日本酒
基本的には好みですが、燗酒に向いている日本酒の特徴はあります。下記で説明します。
- 日本酒度の高い辛口の日本酒
- 果実系の香りの強い日本酒
日本酒度の高い辛口の日本酒
そのままだと辛さがきついことがある日本酒ですが、
燗酒にすることで甘味が膨らむことがあり、苦味を抑えて飲みやすくなります。
適正温度はぬる燗~人肌燗くらいなので40度前後がおすすめです。
香りの強い日本酒
香りが強い日本酒は冷たくても十分美味しくいただけます。
燗酒にすると、より甘味が膨らむ日本酒もあります。
果実系の香りの日本酒も燗酒にすると甘味が増すものもありますが、
甘味が薄れることもあり、冷酒の方が美味しくいただける場合があります。
米の香り、麹の香りなどが強い日本酒は燗酒に向いてます。
適正温度はぬる上燗~熱燗くらいなので50度前後がおすすめです。
全国燗酒コンテスト2023で表彰されてる日本酒を燗酒にして飲むのが間違いなしですね 🙂
燗酒のお薦め温度
熱燗の楽しみ方には、お酒の種類によって異なる適正な温度が存在します。
一般的には、辛口の日本酒は低めの温度が適しており、甘口のものは高めの温度がおすすめです。
これは、温度が味わいに与える影響が、辛口の場合はまろやかさを引き立て、甘口の場合はコクや深みを際立たせるためです。
それぞれ異なる味わいを楽しむことができます。代表的なものとして、以下のような温度帯があります。
- 人肌燗(ひとはだかん)
- ぬる燗(ぬるかん)
- 上燗(じょうかん)
- 熱燗(あつかん)
人肌燗(ひとはだかん)
温度 :約35度〜40度程度
特徴 :体温に近い温度で、冷たすぎず温かすぎず、酒の温もりを感じながらも、まろやかで穏やかな味わいが楽しめます。
主に辛口の酒に向いています。
ぬる燗(ぬるかん)
温度 :約40度〜45度程度
特徴 :やや高めの温度で、まろやかな味わいと芳醇な香りが広がります。
辛口から中口の酒が相性が良いです。
上燗(じょうかん)
温度 :約45度〜50度程度
特徴 :より高い温度で、芳醇な香りや深い味わいが際立ちます。
中口から甘口の酒が適しています。
上燗では、酒のコクや旨味が十分に引き立つことが特徴です。
熱燗(あつかん)
温度 :約50度〜55度程度
特徴 :高い温度で、コクや旨味が強調され、寒い季節に特に愉しまれます。
主に甘口の酒が適しています。
ただし、高温にすることでアルコール感が強まるため、好みに応じて調整することが重要です。
これらの温度帯はあくまで目安であり、個々の銘柄や好みによって微調整されることもあります。
また、温度を変えることで日本酒の味わいがどのように変わるかを楽しむことが、燗酒の醍醐味の一つです。
加えて、季節や気温、料理との相性に合わせて選ぶことで、より一層楽しい燗酒の時間を過ごすことができます。
燗酒の温度帯によって、日本酒の種類との相性が異なります。
辛口の酒はぬる燗や人肌燗が向いており、甘口の酒は上燗や熱燗が適しています。
これにより、飲み手は自分の好みや季節に合わせて最適な温度を選ぶことができます。
燗酒は日本酒の奥深い世界を楽しむ手段として、多くの人に親しまれています。
温度や注ぎ方、相性にこだわりながら、燗酒独自の味わいを探求することで、日本酒の新たな魅力を発見することができます。